FILE 12 ── POWER & DATA

UGREENのNASにUbuntuを入れて、家中からローカルAIを使う

動力実践

グラフィックボードもメモリも、完成品のPCも値上がりが続いている。そこで編集部が目を付けたのが、UGREENのNASだった。本来はファイル保存用の箱だが、中身は省電力のIntel CPUを積んだ小さなコンピューターだ。ここにUbuntu Serverを入れて自宅サーバーにし、Open WebUIを立てて、家中どこからでもスマートフォンでローカルAIを使えるようにした。すでに稼働している構成を紹介する。

NASを「PCのベース」として見る

NASのハードウェアは、24時間つけっぱなしで動くことを前提に設計されている。省電力、静音、小型、そして複数のディスクを積める。これは自宅サーバーに求める条件そのものだ。

UGREENのNASyncシリーズは、従来のNAS専業メーカーの製品と比べて、性能の割に価格が抑えられたモデルが多い。たとえば4ベイのDXP4800 Plusは、Intel Pentium Gold 8505、DDR5メモリ8GB、M.2 NVMeスロット2基、10GbEと2.5GbEのLANポートを備える。2ベイのDXP2800はIntel N100を搭載している。

専用OSを使わず、Ubuntu Serverを入れる

NASには専用のOS(UGOS Pro)が入っているが、ハードウェア自体は一般的なx86のPCと同じように扱える。BIOS(UEFI)で起動順を変え、USBメモリからUbuntu Serverをインストールすれば、普通のLinuxサーバーとして動く。

専用OSを消す前に

  • 専用OSの上書き・別OSの導入は、メーカー保証やサポートの扱いに影響することがある。事前に確認する
  • 専用OSが入っている内蔵ストレージを消す前に、イメージのバックアップを取っておけば元に戻せる
  • BIOSの設定(ウォッチドッグなど)によっては、別OSで想定外の再起動が起きることがある。導入後しばらくは挙動を観察する

Open WebUIで、家中からローカルAI

Open WebUIは、ChatGPTのような画面をブラウザで使えるオープンソースのWebアプリだ。手元で動かす大規模言語モデル(Ollamaなどで実行)と組み合わせれば、外部のサービスに会話を送らずにAIと対話できる。

  1. Ubuntu ServerにDockerを入れる。
  2. OllamaとOpen WebUIをコンテナとして起動する。
  3. 家のLANから、スマートフォンやPCのブラウザでサーバーのアドレスを開く。

N100やPentium級のCPUでは、大きなモデルは動かない。数B(数十億パラメーター)程度の小さなモデルを選び、メモ整理や下書き、ちょっとした調べものに使うのが現実的な線だ。外部のAPIを登録して、重い処理だけクラウドに投げる使い分けもできる。

このサーバーで、次に何を動かすか

ソフトウェアできること置き換えられるもの
Nextcloudファイル・写真の同期と共有有料のクラウドストレージ
Home Assistant家の機器やセンサーをローカルで自動化メーカーごとのクラウド連携アプリ
Paperless-ngx書類をスキャンして文字認識・検索紙のファイル、書類管理サービス
Tailscale等のVPN外出先から自宅サーバーへ安全に接続ポートを開ける危険な公開

Open WebUIに、畑の作業記録や車の整備記録、資材の仕様メモを読み込ませておけば、自分の暮らしに特化した相談相手にもなる。

電源とバックアップ

常時稼働のサーバーは、停電で突然電源が落ちるとデータを壊すことがある。UPS(無停電電源装置)を入れるか、将来的には自作のリン酸鉄バッテリーからの給電も検討の余地がある。そして、サーバーに集めたデータは必ず別の場所にもコピーを取る。RAIDはバックアップの代わりにはならない。

VERDICT
採用・稼働中
理由
高騰するPCを買わずに、省電力で常時動く計算機が手に入る。月額課金を自前の設備に置き換える土台になる。