FILE 22 ── CONTINGENCY
お金が使えない日に価値を持つもの。現金・食料・金銀・物々交換

大きな災害のあと、停電でキャッシュレス決済が使えなくなり、現金しか通らなかったという話は珍しくない。もっと長く物流が止まれば、お金そのものより、食べ物や燃料のほうが頼りになる場面も出てくる。では、手元に何をどれだけ置いておけばいいのか。平時の資産運用ではなく、「数日から数週間、仕組みが止まったとき」に価値を持つものに絞って整理する。
※特定の金融商品や投資を勧めるものではありません。
止まる順番を考える
お金の仕組みは、だいたい次の順に使えなくなっていく。どこまでを想定するかで、備える物が変わる。
- 停電・通信障害。カード決済、電子マネー、スマートフォン決済が使えない。ATMも止まる。現金があれば買える。
- 物流の停止。お金はあっても、店に物が来ない。家にある食料・水・燃料が頼りになる。
- 長期の混乱。近所どうしの融通や物々交換が出てくる。何を持っているかが、そのまま交渉力になる。
現実に起きやすいのは1と2で、3は備えの優先度としては最後でいい。
持っておくものと、その理由
| もの | 強み | 弱み・注意 |
|---|---|---|
| 現金(小さい額面) | 停電時でもすぐ使える。千円札と硬貨は、お釣りが出ない状況でも使いやすい | 家に置きすぎると盗難・火災のリスク。数日分の生活費程度にとどめる |
| 水・食料 | 物流が止まったとき、一番先に必要になる | 期限がある。ローリングストックで回す |
| 燃料・電源 | 調理、暖房、照明、通信に直結する | カセットボンベや灯油は保管のルールを守る。電源は充電を保つ |
| 薬・衛生用品 | 代わりがきかず、手に入りにくくなる | 常用薬は切らさない間隔で受け取る |
| 金・銀の地金や銀貨 | 長い目で見た価値の保存手段として知られる | パン1個のような小さな買い物には使いにくい。本物かどうかを相手が判断しにくい |
| 道具と技術 | 直す、作る、育てる力は、物と違って減らない | 身につけるのに時間がかかる。平時から少しずつ |
金や銀は「小口」に向かない
金や銀は、国や通貨への信用が揺らいだときの備えとしてよく語られる。ただ、仕組みが止まった直後の数日から数週間で役に立つかというと、話は別だ。1グラムの金でも額が大きすぎて、食べ物と交換するにはお釣りが出せない。相手が本物かどうかを確かめる手段もない。
持つなら、1オンス(約31グラム)の銀貨のように、重さと純度が刻まれていて、相手が見て理解しやすい形のほうが扱いやすい。それでも、まずは水と食料と燃料、次に現金。金銀はその後に考える長期の備えだ。
物々交換で強いのは「消えるもの」
長い混乱の中で交換に使われやすいのは、消費されてなくなるものだ。食料、燃料、電池、薬、たばこや酒。なくなるから、また欲しくなる。逆に、記念品やコレクションのように「価値があると信じる人」がいて初めて成り立つものは、相手を選ぶ。トレカが崩壊後の通貨になるかという思考実験もあるが、結局は信じる人の数しだいだ(雑司ヶ谷トレカ研究所のコラム)。
備えの順番
- 水・食料・燃料を、使いながら回して切らさない
- 千円札と硬貨で、数日分の生活費を手元に
- 常用薬と衛生用品を切らさない
- 直す・作る・育てる技術を、平時から少しずつ
- 金銀などの長期の備えは、その後で考える
- VERDICT
- 順番どおりに備える
- 次の一歩
- 家にある水・食料・燃料が何日分あるかを数える。足りない分をローリングストックで少しずつ足し、財布とは別に千円札と硬貨を用意する。