FILE 21 ── CONTINGENCY
銅線も農機も盗まれる。金属盗の増加と、離れた拠点の守り方

太陽光発電所の銅線ケーブル、エアコン室外機の銅管、側溝のふた、畑に置いた農機。ここ数年、金属をねらった盗みが急に増えている。警察の公表資料によると、2024年の金属盗の認知件数は2020年の約4倍、被害額は約140億円にのぼり、窃盗全体の被害額の約2割を占めた。人の目が届きにくい場所に、金属の資材や道具を置いているなら、他人事ではない。畑や小屋のような「離れた拠点」の守り方をまとめる。
なぜ金属がねらわれるのか
- 相場が高い。銅をはじめとする金属の価格が高い水準にあり、くずとして売っても金になる
- 人がいない場所にある。郊外の太陽光発電所、資材置き場、畑の小屋は、夜はほぼ無人だ
- 売る出口があった。盗品と知らずに、あるいは確かめずに買い取る業者がいた
海外では、支援で整備された送電線や通信設備まで、金属を取り出すために壊される例が報じられている。インフラは、それを守る仕組みが弱まった途端に、資材の山として扱われてしまう。
2025年にできた「金属盗対策法」
こうした被害を受けて、2025年6月に「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(金属盗対策法)が公布された。主な中身は次のとおりだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 買い取る側の届出 | 銅などの特定金属くずを買い取る営業に、届出を義務づける |
| 本人確認と記録 | 買い取るときに相手の本人確認をして、取引を記録・保存する |
| 警察への申告 | 盗品の疑いがあるときは警察官に申告する |
| 工具の携帯規制 | 大型のケーブルカッターやボルトクリッパーを、正当な理由なく隠して持ち歩くことを禁止(2025年9月から) |
売る出口を絞る仕組みができたのは大きい。ただ、法律ができても盗みがゼロになるわけではない。自分の拠点は、自分で守る必要がある。
離れた拠点の守り方
1. 置かない・見せない
- 農機、発電機、工具、銅線やケーブルの余りは、無人の小屋に置きっぱなしにしない
- どうしても置くなら、外から中が見えないようにする。波板の小屋なら、透明の板より不透明の板を選ぶ
- 銅線を使う設備は、ケーブルをむき出しにせず、管やカバーで覆う
2. 盗みにくくする
- 扉は南京錠1つで済ませず、ワイヤーロックやチェーンを足す。時間がかかる場所は嫌われる
- 重い機材は、地面のアンカーや柱にワイヤーでつなぐ
- 工具には名前や番号を刻印しておく。転売しにくくなり、見つかったときの証明にもなる
3. 気づけるようにする
- センサーライトは、電源のない場所でもソーラー式が使える
- スマートフォンで見られる防犯カメラは、通信回線と電源の確保が課題。小さな電源と組み合わせる手もある
- 近所の人や農地の隣の人と、ふだんから顔を合わせておく。いちばん効く防犯は、人の目だ
被害にあったら
- 現場に触らず、まず警察に通報する。被害届には、盗まれた物の型番や写真があると役立つ
- ふだんから、道具や機材の型番・製造番号を控え、写真を撮っておく
- 保険に入っている場合は、補償の対象になるか保険会社に確認する
- VERDICT
- 今すぐ見直す
- 次の一歩
- 離れた場所に置いている道具と資材を書き出し、型番の控えと写真を残す。高価なものから、持ち帰るか、鍵とワイヤーで固定する。